地震に強い住まいとは?「わが家の耐震診断」で再確認
住まいの耐震強度を高めるためのチェック項目を確認しながら、地震に強い住まいについていま一度考えてみましょう。
東日本大震災から4年以上が過ぎましたが、そのエネルギーの大きさからいまだに余震が繰り返され、最近は各地で火山活動も頻発しています。島国の日本列島は、単純にはかまぼこを逆さにしたように不安定な状態で大地が成り立っているともいわれています。そこにたくさんある地下の岩盤プレートのいずれかが少しでもずれれば、地震が否応なく起こってしまう。そのような国土と向きあって生きてきたからこそ、これまで蓄積されてきた地震への備えがあるはずです。
今回は、チェックシートへ記入することで簡単にできる耐震診断の方法を紹介します。住まいの耐震診断にもさまざまなものがありますが、簡単な内容を用紙へ記入してできるものをひとつご紹介しますので、チェックしてみてください。誰でもできるわが家の耐震診断(監修/国土交通省住宅局 編集/財団法人日本建築防災協会)
このなかで重要な「1.建物の平面の形」、「2.壁の配置バランス」、「3.壁の多さと屋根ふき材」の3点について解説しますので、地震への備えが万全かどうか、再確認してみることをおすすめします。
今回は、チェックシートへ記入することで簡単にできる耐震診断の方法を紹介します。住まいの耐震診断にもさまざまなものがありますが、簡単な内容を用紙へ記入してできるものをひとつご紹介しますので、チェックしてみてください。誰でもできるわが家の耐震診断(監修/国土交通省住宅局 編集/財団法人日本建築防災協会)
このなかで重要な「1.建物の平面の形」、「2.壁の配置バランス」、「3.壁の多さと屋根ふき材」の3点について解説しますので、地震への備えが万全かどうか、再確認してみることをおすすめします。
この建物の形は長方形ではありませんが、奥行きのある庇を均等な間隔の柱で支えています。庇の重さや外からの力に耐えられるように、複雑な形にならないように設計しているのです。それがデザインにも表れていることで、建物に力強さが感じられます。
このように複雑でない形にしてみることで、外観はシンメトリーに近い形になります。見た目にもどっしりとした風貌に見えてきます。
2. 壁の配置バランス
さて、テントは全体の重量がないので、柱の配置で強さを考えてみました。これを家に置き換えて、強い壁がどのくらいバランスよく配置されているかを考えてみます。部屋の広さに応じて、外部や隣室などに面する壁の配置に注意しなくてはなりません。反対にクローゼットや水まわりは広さもなく窓も小さいのでその必要性は小さくなります。
さて、テントは全体の重量がないので、柱の配置で強さを考えてみました。これを家に置き換えて、強い壁がどのくらいバランスよく配置されているかを考えてみます。部屋の広さに応じて、外部や隣室などに面する壁の配置に注意しなくてはなりません。反対にクローゼットや水まわりは広さもなく窓も小さいのでその必要性は小さくなります。
強度のある耐力壁
壁にも2つの種類が考えられます。
1つめは、力を支える強い壁。「耐力壁」といいます。外部の開口と内部の扉やふすまの位置は、この強い壁が必要なところと重なってはいけません。詳しくは専門家が確認することになりますが、平面図から計算式で必要なところとそうでないところを算出して、壁の配置を考えることになります。
壁にも2つの種類が考えられます。
1つめは、力を支える強い壁。「耐力壁」といいます。外部の開口と内部の扉やふすまの位置は、この強い壁が必要なところと重なってはいけません。詳しくは専門家が確認することになりますが、平面図から計算式で必要なところとそうでないところを算出して、壁の配置を考えることになります。
強い壁にする工夫も紹介します。和室の棚が全体のデザインや素材感に調和してとても使いやすそうです。このデザインに、実は強い壁にする工夫が隠されていました。正面の柱から均等間隔で斜めにわたした材料(「筋交い」と言います)が取り付けてあります。横からの力に抵抗できる、とても有効な方法です。地震では左右どちらからも力がかかってくるので、柱に対して線対称にすることが有効になってきます。
そして、最近のリノベーション事例などでよく見かけると思いますが、このように大きな空間の場合で、ちょうど壁が必要なところに設置した耐力壁です。和室の棚で紹介した筋交いが、補強金具でしっかりと留めつけられています。耐震診断をして弱い部分がわかったときは、バランスがよくなるように補強することも可能です。リノベーション時に耐力壁が撤去できない場合には、筋交いを活かしてデザインすることで、視界を遮らずひとつながりの空間に感じさせることができます。
耐震強度には関係しない、間仕切り壁
2つめの種類の壁は、天井まで届いていませんので想像がつくと思います。空間を仕切る壁で「間仕切り壁」といいます。この壁には建物が受ける力を想定していませんので、他の壁がその役割をしてくれているわけです。
2つめの種類の壁は、天井まで届いていませんので想像がつくと思います。空間を仕切る壁で「間仕切り壁」といいます。この壁には建物が受ける力を想定していませんので、他の壁がその役割をしてくれているわけです。
これも間仕切り壁と同じように考えられます。開口を取っても大丈夫な位置に、少しゆとりのある幅のクローゼットとして活用しています。
外の景色を感じたい、外からの光と風を取り込みたい、眺望のよいところでは全面を開口にしたい。開口部をできるだけ多く取りたい時はどうでしょう。そのようなときも、建物全体の壁のバランスを考えなくてはなりません。基本的には、窓と壁を交互に配置する必要があります。窓が欲しいときには、その弱い部分を強い壁でカバーするようにします。強弱のバランスを整えることが、安定感を増し、安全にもつながります。
3. 壁の多さと屋根ふき材
壁の総量にも注意します。平面図でみて壁が極端に少ない場合は、その部分が弱くなってしまうので注意が必要です。平面図を縦横に分解して、縦方向と横方向の2方向で壁の量が確保されているかどうかが重要となります。また、屋根の材料に、重量のある瓦屋根を使用するときは注意してください。この家のように広さにゆとりがあると力も分散していきますが、屋根部分が重いと揺れが大きくなってしまうことが考えられます。3階建てなど面積が小さくて背の高い家や、1階がピロティになっている家は、特によく注意してみてください。
以上、住まいの耐震診断を進めるうえでポイントとなる項目を紹介しました。地震への備えが万全な家かどうか、簡単なチェックシートで確認できます。健康を守るための人間ドックのように、早めの住まいの健康診断をおすすめします。
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壁の総量にも注意します。平面図でみて壁が極端に少ない場合は、その部分が弱くなってしまうので注意が必要です。平面図を縦横に分解して、縦方向と横方向の2方向で壁の量が確保されているかどうかが重要となります。また、屋根の材料に、重量のある瓦屋根を使用するときは注意してください。この家のように広さにゆとりがあると力も分散していきますが、屋根部分が重いと揺れが大きくなってしまうことが考えられます。3階建てなど面積が小さくて背の高い家や、1階がピロティになっている家は、特によく注意してみてください。
以上、住まいの耐震診断を進めるうえでポイントとなる項目を紹介しました。地震への備えが万全な家かどうか、簡単なチェックシートで確認できます。健康を守るための人間ドックのように、早めの住まいの健康診断をおすすめします。
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平面はできるだけ長方形に近い形が強い形とされています。反対にL字型などの複雑な形は、地震のときに変形しやすくなり、全体が弱くなってしまいます。学校の「テント」を思い浮かべてみてください。実はこの直方形のテラスのパーゴラと同じように、「テント」がわかりやすい構造物のひとつです。太さの等しい柱で布地の屋根を支えていますが、もしどれかひとつが細いとどうなるでしょう。強い風が吹くと弱い部分に力が偏って不安定になり、そこから倒れてしまいます。構造物が最も安定するのは、形も複雑でなく不揃いをなくすことです。