アーツ&クラフツ様式 英国ヴィクトリア時代の後半、1880年代から確立されたスタイルですが、その萌芽は19世紀半ば、画家のダンテ=ガブリエル・ロセッティらが結成した芸術家集団の思想にありました。ミケランジェロやラファエロ以前の時代を題材とした絵画を発表したこの「ラファエル前派」は、中世や自然への回帰を理想としていました。ラファエル前派の解散後、この考えはロセッティを慕って集まった若き芸術家たちによって継承されます。のちに室内装飾家や詩人として多彩な活躍をすることになるウィリアム・モリスと、その友人の美術家、エドワード・バーン=ジョーンズたちです。機械化による大量生産が進むいっぽうで、昔ながらの職人の手仕事がいつの間にか置き去りにされ、質の低い品も出回るようになっていた当時の状況を危惧した彼らは、中世の職人のものづくり精神を理想としたデザイン・制作活動を行います。
黒の使い方 窓枠に使って外の眺めを強調する 大きな窓のある空間はとても素敵です。フィックス窓や大きな窓をつける際、窓枠の色を黒にしてみるのはいかがでしょう。黒は周りのどの色よりも暗いので目立つともいえますが、黒の縁取りを絵を引き締める額のように使うことで視線を集め、外の素晴らしい眺めを意識させることができます。上手に使えば、家の中で最も景色のよいスペースを美しく強調する存在になります。
虫かご 日本では、昔から秋を思わせる虫の声を聴いて涼を感じる、「虫聴き」という習慣がありました。喜多川歌麿の浮世絵には、その名も『虫籠(かご)』という作品がありますが、そこには夏姿の女性が竹細工の虫かごを手にし、中を覗き込む姿が描かれています。歌麿の作品には、この他にも『虫売り』と題したものもあり、たくさんの虫かごを吊り下げた屋台をかついで行商する男性の姿も見られます。 現在ではプラスチック製が主流の虫かごですが、今でも竹を使った伝統的な細工物もつくり続けられています。かたちも素朴な角形から、かすみ(縁と縁の間にある飾り部分)を施した精巧なものまで、いろいろな種類があります。特にかすみは、かごの強度を高めながら、虫が鳴きやすいように内部に暗がりをつくるようにも工夫されており、まさに、虫の音に涼を求める日本人の感性が生み出した芸術品ともいえるでしょう。
簾(すだれ)と葦簀(よしず) 高温多湿の日本の夏を、少しでも快適に過ごせるようにと先人たちが編み出した知恵が、吊るす「簾」と、立てかける「葦簀」。どちらも、見た目に涼やかなだけでなく、遮光をしながら、隙間から涼風を取り込んでくれます。簾は、細く割った竹やアシという植物(ヨシとも呼ばれます)でつくられているものが多く、部屋の中でも外でも吊るせます。 ほんのりと暗くなった室内からは、外からの視線を気にすることなく、簾から透けて見える、光あふれる風景と涼風を感じることができます。また、御簾(みす)と呼ばれる、布で縁取りした簾には、日本人特有の繊細な美意識も見られ、吊るすだけでも風雅さが引き立ちます。いっぽう葦簀は、アシを原料としてつくられているものが多く、軒先などに立て掛けて使います。水辺の植物であるアシは水を吸うため、霧吹きなどで水をかければ、打ち水と同じような効果が得られ、より涼しく感じられるでしょう。山口誓子が俳句で詠んだような気持ちも味わえるかもしれません。 よしず過ぎ 几帳も過ぎて 風通る



東西の建築文化を見事に融合させた、レーモンド設計《旧イタリア大使館別荘》
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